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Vol.6 ヴァーベイン "こうあるべき"から解放される

 「ヴァーベインタイプの患者はたいへん厳格で、      こうあるべきという考えに凝り固まっていて、 狭い見方しかできなくなっていることがある。      世界を自分の理想的なものにしようと努力しすぎていて、その高い信念のもと、 他人の過ちに不寛容になり、      自分自身に対しても厳しすぎる」

 これは、ヴァーベイン(和名はクマツヅラ)についてバッチ博士が書いた文章です。
このエッセンスのことは、常に心の片すみで気になりつつも、「まぁ、私は大丈夫だろう」と、 フラワーエッセンスと出合ってから10年以上たつ今日まで、おそらく一度も飲むことなく過ごしてきました。
 ワークショップやレクチャーなど、人前で話をする際に、マイクも使わず地声のまま、 身ぶり手ぶりも大きく熱中しやすい自分のことを考えると、「ヴァーベインぽいところがあるよなぁ…」と感じてはいたものの、 何となくこれを飲むことは、そんな自分のスタイルをバランスのくずれた状態と見なすようで、避けたかったのかもしれません。

 有無を言わせず、これぞまさに"ヴァーベイン"と自分のことを認めるようになった出来事は、 ウェールズの旅のあとパートナーとパリで合流してから、巡ったブルターニュ地方でのことでした。3週間かけてゆっくり回ったブルターニュ。 ケルトと呼ばれる時代や民族性に深く縁のある私にとっては、とても興味深い出来事や出会いがいくつもありました。

 フランス西部に位置する半島のブルターニュは、内陸を走る川や運河が大きな役割を果たしてきました。運河の通り道に沿って街が栄え、 今もその名残りがあります。イギリス海峡へ続く北の港サンマロから内陸に向かって流れる運河の途中にあるディナンという街もその1つです。 ハーフティンバーと呼ばれる半分木でできた、中世の古い建築物の立ち並ぶ石畳の路地が、魅力的な街でした。 高台の教会から運河沿いのヨットハーバーまで続く石の坂道を、8時すぎてようやく落ちるやさしい夕陽が包むまで、 二人でよく散策して過ごしました。

 そんなやさしい時間とは裏腹に彼との間では、毎晩、話し合いを繰り返していて、時にはその会話が激しい言い合いにまでなるほどでした。 英語で伝えることの不自由さもあり、理路整然と、畳みかけるように強い口調で、彼の性格のパターンについて「こうしたほうがいいのでは?」 と私のほうが訴えかけていたのです。

 ある日、いつものように、静かに流れる運河沿いの道を歩いていたとき、道端にヴァーベインが咲いているのを発見し、 彼に写真撮影をお願いしました。

 ヴァーベインはワサワサ広がる根元の葉っぱや、      真っ直ぐ伸びて空間を独り占めするように枝分かれする茎に対して、その花はとても小さくシンプルで、      先端の穂先に1つか2つずつひっそりと咲いています。
 薄いピンクと藤色の花は、細く長い茎によって上方に持ち上げられていて、 花をじっと見ていると小さな光の点が空中に留まっているように目に映ります。

 植物全体はこんなに大仰にステージを準備しているのに、主役である肝心のお花さんは、驚くほど小さく全体としてバランスが悪く見えますが、 少し心を静めてヴァーベインのそばにたたずむと、そこにある花の霊的な強さが感じられ、 大いなる存在がこの植物に与えた完全さに気づくことができます。

 小さい花にピントを合わせるため、草の上に腹ばいになって写真を撮っていた彼に「ヴァーベインはどんな意味があるの?」と聞かれました。
 植物の根・葉・茎の育ち方や、花の色や形などから、植物のジェスチャー(姿や振る舞い)が人間の中のどんなパターンと通じるのか、 ヴァーベインから学ぶべきことについて彼に話をしました。

 5ミリほどしかない小さく控えめなこの花のメッセージは、大きなことが成し遂げられるとき、ストレスやプレッシャーをもたず、 おだやかに静かになされるというものです。実現させたい理想に対して外へ外へとエネルギーを使い、焦りすぎるのではなく、 自分の中に調和を保ち、その信念を静かな輝く光として内面に掲げることが大切であることを、教えてくれています。

 そんなことを説明しながら、それはそのまま私が学ぶべきこととして、しだいに深く内省的な気持ちに満たされていきました。

 彼のもつ弱点に対して「この点を改善するとよいのではないか?」と訴え続けていた私は、自分が正しいと思うことを相手に認めさせようと、 理論に身を固め、押し出すように、自分を表現していました。それはまるで、根元に葉を茂らせることで足元を固めて、 角張った茎を外へ外へと自分の領域を拡大して育っている、この植物にそっくりだったのです。


 それからは、お互いが消耗するような話し合いをすることをやめました。
不思議なことに二人がそれぞれタスマニアと日本へと帰り、しばらくたってから、「あのとき、キミの言ってくれたことは、 とても正しかったと思う」と彼から電話で告げられました。
 そのときの私はというと、すでにかなり反省モードだったので、小さいヴァーベインの花よりももっと小さくなって「こちらこそ、 ごめんなさい。そして、ありがとう」というだけで精一杯でした。
 電話を切ったあと、なぜか涙があふれ、神聖な空気に包まれて、とても静かな気持ちになりました。


 自分がよいと思うことを実現したいときや、心に描く理想があるとき、私たちは、ついつい気持ちが急いてしまったり、 神経が高ぶってしまうことがあります。ヴァーベインの咲く自然の中まで行けないときには、 10ミリリットルの茶色い小ビンに入ったヴァーベインのフラワーエッセンスを飲みはじめるとよいでしょう。

 張りつめた神経がほぐれ、頭に偏りがちだったテンションも、バランスを取り戻し、 ヴァーベインの薄い紫の花に秘められていた霊的なおだやかな力を自分の内に感じとっていけることでしょう。

 

                  
        2005.12.26        

 

      

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