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Vol.7 ロックローズ 勇気と愛を内に秘める“小さき太陽”

 12種のタイプレメディー (バッチ博士が最初に発見した12種の植物からつくられたレメディー。 われわれの基本的な個性をあらわすと博士は考えた)の中で、私がどうしてもしっかり理解しきれなかった1種がロックローズです。
 自制不可能な恐怖、麻痺、極度の冷えや震えの症状を示し、その恐れや不安が周囲の人々にも伝播していくような状態の人々に有効とされているのですが、それがその人のタイプ(個性)になりうる……
というところがわからなかったのです。
 その疑問に対して実感をともなう確信をくれたのは、ロックローズのパターンをもっていた生徒のSさんと、ジュリアン・バーナード (バッチレメディーのつくり手で、ヒーリングハーブ社の社長)の新しい本でした(Bach Flower Remedies Form & Function)。

 ロックローズタイプの人は、おおいかぶさるような恐怖の圧力のもとで、静かにそれに耐えて人生を過ごしています。 その恐れは具体的な何かに対するものとは違い、自分がこの世に存在することそのものを困難に感じていて、どうやって生きのびようかという、 心の内側に根ざした恐れといえます。このような状態がフラワーエッセンスの健全なエネルギーパターンによって調和されたとき、 ロックローズタイプの人々は穏やかに確固とした姿勢で、苦しみの中にある他者に手をさしのべていけるようになるといわれます。

 ジュリアン氏は、『アンデルセン物語』の「人魚姫」の主人公・リトルマーメイドがロックローズタイプを示していると、 前述の著書で述べています。
 嵐の中、瀕死の状態にあった王子さまを救ったマーメイドは、彼への愛に目覚めます。彼と一緒になりたいという望みとともに、 マーメイドは自分の家族と海の世界を捨てて地上で生きる決心をします。魔女と取り引きをして、 人魚のしっぽを人間の足にかえてもらう代わりに、足を使うたびに身を切るような痛みを味わい、美しい声を失うことを承諾します。そしてまた、 もしも彼女が王子さまと結ばれなかったときには、彼女のハートは破れ、一瞬のうちに海の泡と消えてしまうだろうと、魔女から予言されます。
 王子さまは自分を救ってくれた女性と結婚しようと心に決めていました。しかし、「彼の命を救ったのは自分だ」 と伝える声を失ってしまったマーメイドは、結局、王子さまと結ばれることができず、海の泡となって消えてしまいます。

 フラワーエッセンス講座の生徒のひとりだったSさんは美しく聡明な女性で、サーフィンが大好きで海によく行っていたのですが、 疲れが限界を超えかけると決まってケガをするパターンがありました。あるときなどは、顔に大ケガを負ってしまい、 ショックでしばらく震えがおさまらなかったそうです。
 突然の出来事や、それに対する恐怖によいとされるロックローズを飲むことに決め、しばらく、そのエッセンスを服用していました。けれども、 それらのショックや震えるような恐れの状態は単に一時的なものではなく、実はより深い彼女自身の人生背景(バックグラウンド) からくる気質が隠れていたことが、一年たって過去を振り返ったときに見えてきたのです。

 強い性質の男兄弟の中で育ち、しっかりしていないと精神的に負けてしまうと常に気を張っていなければならなかったこと。 兄弟ゲンカをするたびに、部屋でひとり泣きながら、「もう傷つけられないように」とどこかで人に対してドキドキと内心震えながらも、 立ち向かうように自分を保って生きてきたこと。こうした生き方が自分の土台にあることから、Sさんは 「ロックローズが自分のタイプレメディーである」と思い至ったのです。

 こういう無意識下にもっている気質があるからこそ、何かのはずみでポンと小さい恐れが心に入りこんだときに、 体の一部が麻痺するような状態になったり、制御しがたい震えや冷えがあらわれたり、 そばにいる人たちにまでその恐れや緊張が伝わってしまうような状況が起きてしまっていたのです。
 また、Sさんは就寝時に“手足ムズムズ病”がでやすく睡眠が浅かったのですが、このことも改善されたそうです。表面にでてくる体の症状は、 時に、その人の本質的なタイプを示す氷山の一角となっていることがわかります。

 それでは、同じくロックローズタイプのリトルマーメイドの人生から、 ロックローズのあり方が調和的に表現されている姿を見つめていきましょう。
 育ってきた世界と全く違う環境で生きる決心をしたマーメイドの人生は、恐れを伴うものはありましたが、 この花にみる黄金の光に反映されるように、真実の愛は、彼女に強さと希望をもたらすことになります。 彼女が常に愛する者を見つめて自分の選んだ環境の中で精一杯自らを捧げて生きていたように、ロックローズは、 もろく繊細なゴールデンイエローの5枚の花びらをピンと張り、太陽に向かって完全に開いて、金色の光に輝いて咲く花です。

 この様子は、Sさんが海の中で自然と一体になった時間について書いた文章に、見事にあらわれているので、 ここに掲載させてもらうことにします。

<海に行った日のノート>

(Sさんの日記より)
 素晴らしい体験をした。波はほどよく高く、力強かった。朝から一日中雲っていたというのに、夕方、太陽が西の空に傾いた瞬間、 ふっと空気が変わって、空がいっせいにオレンジに色づいた。
 東の水平線は淡くやさしいピンク色に染まり、反対の西の空は太陽が地平線に近づくに従ってどんどん色を濃くする。そのとき、 私たちをとりまく世界に魔法がかけられた。まるで神様が時間を早回ししているかのように、一瞬一瞬、 刻々とその世界の美しさが増していく。海の水はピンクシャンパンに変わり、水面はゴールドに輝く。 空は熟したマンゴーのような情熱的な色に変わり、海の天国がそこに現れた。信じられないほど幸せな時間。胸がいっぱいになり、 泣きたいくらい幸せ。沖からきた大きなうねりに力いっぱい漕ぎ出す。ピンクに輝くたっぷりとした水面をサーッと水しぶきを上げながら、 風を感じながら滑る幸福感が胸をいっぱい震わせる。母なる自然、宇宙に感謝。私という人格以前に、私を包む存在が、 こみ上げてくるような感謝の気持ちを発する。
 神さま、ありがとう。


 全身の細胞で恐れを受けてしまうロックローズタイプの震える気質はそのまま、 神さまから降り注がれている黄金の光を全身で受けとめ体現できる器となりえます。エッセンスの1つ1つの植物についても (一人一人の人間についても言えることですが)、ネガティブ・ポジティブにかかわらずに、植物をじっくり見つめ理解を深めていくことで、 その存在の信じられないほどの美しさに気づいていくことができます。

 あなたがもしもマーメイドの立場だったなら、海の泡になることを恐れ、愛を知らずにそのまま、 限られた世界の中だけで生きることを選びますか? それとも、生まれてはじめて知った愛に人生をかけてみるでしょうか?

 夕暮れどきの海で、Sさんが体験したピンクシャンパンの1つ1つの泡は、もしかしたらマーメイドを生み育んだ“母なる海” から娘に向けた祝福の抱擁かもしれませんね。




開いているときのロックローズ(左)と、 うなだれたようにつぼみをつけるロックローズ(真ん中)。つぼみのロックローズは、 マーメイドが岩の上でうなだれている姿(右)とどこかでダブって見えます。

2006.02.02

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