« Vol.7 ロックローズ 勇気と愛を内に秘める“小さき太陽” | トップページ | Vol.9 ミムラス 恐れを超えて「真の自己」を生きる »

Vol.8 ラーチ やさしいぬくもりで、自信を取り戻してくれる

【Kさんの体験談】

 わたしは某鉄道会社で接客やアナウンスの仕事をしています。あるとき、アナウンスをしていて“後ろ”の“ろ”が言えなくなりました。 頭ではわかっているのですが、口が動かないのです。声を使う仕事なのに、ろれつが回らず、仕事に対する自信を完全になくしてしまいました。
 上野さんに相談したところ「ラーチを飲むとよい」と言われ、飲みはじめ、またお守り代わりに制服の胸ポケットにラーチを忍ばせて、 仕事をするようにしました。2、3日で不思議なくらい症状は改善され、現在は、ゆっくり、はっきりアナウンスできるようになりました。
 おかげで自分の疲れているときのサインもわかり、心と体が疲れのピークに達し発音がうまくできなくなったときは、 ラーチを飲むと効くことも発見できました。

【エッセンス・コメント】

 エッセンス講座の中で、Kさんが半分涙ぐんで「しゃべれなくなってしまった」と訴えてこられたとき、 それまでは何の問題もなくアナウンスの仕事をしていた方なのでにわかには信じられず、その場でアナウンスの内容を声に出してもらったところ、 確かに“らりるれろ”がうまく発音できなくなっていました。
 エッセンスを選ぶとき最も重要なことは、「症状ではなく患者自身をみよ」という教えにあります。現代でも、 症状を病院で調べてもらって病名がわかると人々はほっとするものですが、「病気そのものを調べて名前をつけることは、治癒の道ではない」と、 バッチ博士は述べていました。ちょっとした小さな不調から生死にかかわるものまで、その人の健康を妨げているものは、“病ではなく、 その人自身に由来する”ということが、バッチの到達した考え方でした。

 エッセンスを選ぶ指標であるその人自身を観察していくとき、その人が病や症状によってどのように影響を受けているか、 対話をしながら明らかにしていきます。なぜなら、実は患者自身が病の原因をたとえ意識していなくても、知っているものだからです。 この時もKさんに、「それはいつごろ起こったのか」「どうしてそうなったと思うのか」を聞いてみました。

 質問に対する答えや、言葉の選び方やムードを通して、彼女にとって必要であろうと思われるいくつかのエッセンスが浮かび上がりました。

 うまく話せないことや失敗することへの恐れに対してはミムラス。自分にはその仕事自体が無理なのではないかという自信喪失感にはエルム。 アナウンス中にしっかり話せなくなってしまったときのトラウマにはスター・オブ・ベツレヘム。そして、 この3つ以外に一番強く私の心に浮かんだものがラーチでした。

 Kさん自身に上の4つのエッセンスについて簡単に説明しながら、何が本当の原因だと思うか聞いてみたところ、やはり仕事以前に、 自分に対して自信がもてないことを話してくれました。過去においても、中途挫折になってしまったいくつかの職があり、加えて、 女性としても周りの友人たちが結婚していくなかで、いまだ特定のパートナーのいないことも、自信を失いかけていたようです。

 ゆっくりと話をうかがった結果、ご本人もラーチを選びとり、前述のようないい状態に改善されました。

 ラーチのエッセンスは、自分自身のことを周りと比べて、能力的にも人としても劣っていると感じている状態のときに使います。 失敗をするのではないかという考えから、やってみたらうまくいくかもしれないことにも、チャレンジする一歩が踏み出せないときです。

 このような自信をもてないラーチの状態は、まさにこの木の姿にあらわれています。
 花の咲く季節を過ぎたラーチの木は、見るからに情なく、だらりと茶色い枝が垂れ下がっています。ラーチ(和名はヨーロッパカラマツ)は、 寒さを生き抜くために鋭く細い葉をもつ針葉樹の仲間なのですが、冬でもその葉を保つ、ほかの針葉樹と違って、 すっかり葉を大地に落としてしまいます。その姿を、アンデルセン童話の『みにくいアヒルの子』の物語になぞらえると、 「葉を落とすみすぼらしいラーチの子」といった雰囲気です。

 この木の姿を見れば、一目瞭然どんな状態のときにラーチが必要かが想像できますが、では、 どこにそのネガティブな性質を打ち消すエネルギーパターンが見られるのでしょう?!

 ラーチが私たちに自信と活力をもたらすエッセンスであることが、本当に納得できたのは、 バッチ博士が晩年過ごしたソットウェルという小さな村で、麦畑のそばに咲いているラーチを見たのときのことでした。

 花のついたラーチの木はたまらないほどかわいい姿をしています。デリケートな毬果(きゅうか。球形または円錐形をなす“松ぼっくり” のこと)の美しい幾何学的なパターンや、茶色い枝にふさふさした緑色の針葉の房に彩られて並んで咲いている、赤や黄色や緑の小さい雌花たち。 うっとり時間を忘れて見とれてしまいます。
 以前は垂れ下がる枝が情なく見えましたが、この季節には、優雅にしなるその曲線は、目の前に誘いかけるように感じられます。


 これを触らずにいられる人は世の中に一人もいないだろうと思えるほど、そこに行儀よく並ぶ花たちは愛らしく、さらに実際触れてみると、 その思いがけない柔らかさにドキドキしてしまいます。葉っぱも針の葉というよりは、アヒルの子供の毛と言えるほど、しなやかで、 思わずかわいい花を1つ、口の中にパクンと入れてみたくなってしまい、その気持ちを抑えるのがたいへんでした。

 自信を失って泣いてしまったKさんも、まさに愛おしさを感じずにはいられない魅力的な女性です。講座でその話をしてくれたときも、 そばにいたほかの生徒さんが、思わず手を伸ばして、彼女の背中をさすりはじめていました。
 本人は気づいていないかもしれないけれど、人の気持ちを動かす魅力があるのです。

 ラーチのエッセンスを飲むと、「堂々と自信に満ちてくる」というよりも、「もう1回がんばってみよう」 という温かい力が心にわいてくるような気がします。みにくいアヒルの子が、自分は白鳥の子だったことに気づき、 やがて美しい翼で飛び立っていくように、私たちができるところから一段ずつ取り組んでいけるよう、 ラーチのやさしいエネルギーは働きかけてくれます。やがて「自分は自分のままでよい」という自信がゆっくりと育っていくのです。


 ほとんどの針葉樹は、その土壌をほかの植物が育ちづらい酸性に変えてしまうのですが、ラーチの木はほかの仲間たちと違って、 葉を落とすことによって、その土地を健康的に癒していく力があるそうです。

 「あなたがあなたらしく大切に生きることができたなら、それだけで世界は癒されていきます」 ラーチの花はそう語りかけているように感じました。

 

                  
        2006.03.03        

 

      

|

« Vol.7 ロックローズ 勇気と愛を内に秘める“小さき太陽” | トップページ | Vol.9 ミムラス 恐れを超えて「真の自己」を生きる »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Vol.7 ロックローズ 勇気と愛を内に秘める“小さき太陽” | トップページ | Vol.9 ミムラス 恐れを超えて「真の自己」を生きる »